2012年2月27日

デジタルシンジ _MG_4775.JPG
「noname」


・・・・・

ついにボクもデジタルシンジになった。

こんばんわ。シンジです。

デジタルシンジというフレーズに色んな想像を膨らませているかもしれませんが、
とりあえず気にせず先へと読み進めてほしい。

更新の頻度が0へと漸近しているが、
ついでにそのことも、気にしないでほしい。





先日、職場の先輩が、
粗大ゴミ屋さん(リサイクル屋さん)を呼ぶので、
捨てたいものを持って来なさいと言ってくれた。

唐突に先輩の口から出た「粗大ゴミ屋さん」
というききなれない言葉に戸惑ってしまったが、
ようするに区指定の粗大ごみ回収よりも安価で、
粗大ゴミを回収してくれる民間のサービスらしい。

「原付も大丈夫。車も捨てたいならオッケー。
核廃棄物以外ならオッケーって言われたから何でも持って来い」
と、なんとも怪しげで頼もしい御言葉をいただいた。

その言葉にあやかり、
何を捨てようかと考えたあげく、
とにもかくにもテレビを捨てよう。
という話が、シンジの脳内会議でまとまった。

一人暮らしを始めたときに購入した、
17インチのブラウン管テレビなのだが、
これがなんとも邪魔、心底ミラクル邪魔だったのです。

ブラウン管テレビなので、
形状は立方体に近く、
場所をとることこの上なく、
かつ、なにより、デジタル放送に対応していないのである。
画面の右下あたりに「17インチ テレビデオ」と書いてあるけれど、
放送に対応していないというテレビとして致命的な欠陥をもっていたのです。

そもそもボクはテレビを見る習慣もない。
「まぁ、テレビなくても、別にいいか」
と一人納得して、
日本が地デジに完全以降した後は、
そのアナログテレビは、ずっとベランダの一角を占拠していました。



そしてもう一つ、邪魔大国に在籍していたのが、
邪魔キングのソファでした。

こいつはもともと我が家において「浮世離れ担当」だった。
「まったく必要のないものが必要」という年頃がボクにもあったのだ。

想像に難くなく、案の定、
一二年部屋に飾った後、
そのソファも気付けばベランダの住民と化していた。

読者はさぞかし広大なベランダを想像していることでしょうが、
うちのベランダは、幅50センチである。

当然の帰結なのですが、
このブラウン管テレビとソファで、
我がベランダの大半は埋まってしまいました。

休日には、ベランダのソファに座りながら、
コーヒーを飲んだこともあるけれど、
ベランダの幅は50センチである。
窮屈この上ない。
椅子の上に体育座りで乗っかっている状態です。
メンタル面でどうにかしようと思ったけれど、
やはり物理的に窮屈なので、退散せざるを得なかった。

そして、なにより、うちのベランダは、
目の前1メートルのところに隣のマンションの壁面があり、
眺めなどはない。
「眺めが悪い」などではなく「眺めなどない」のです。
分からない人は、トイレにすわって目の前のドアを眺めてごらんなさい。

これもメンタル面でどうにかしようと思った。
今思うと、シンジは遊び心を忘れない素敵な人間だけれど、
どうにも解決手段が一辺倒である。
目の前の壁を一生懸命睨み続け、
「ボクはいま客船の上にいて、目の前には青く広大な・・・」
とうなされてみたけれど、
客船に乗った事などないので、やはり退散せざるをえなかった。
野良猫の声や、近所のお婆ちゃんのわめき声などが響いた。


ゴミを回収してくれる。
この好機を逃すか。
シンジは先輩の好意に甘えることにした。

シンジは仕事から帰宅した夜11時、
台車にソファとテレビを積み上げ、
夜の淵、えっさえっさと先輩の家に向かって行った。

道中、踏切で台車のコマがレールに挟まったときには、
死を覚悟し、
警官に不法投棄と勘違いされ連行される恐怖に怯えながら、
シンジは汗をかきかき運んで行ったのだった。

なんとか無事故無違反で先輩の家に到着し、
ぼろぼろのドアをノックし、中に入った。

先輩は一人でピコピコとテレビゲームをしていた。
「あの、ぼく・・・ゴミ、持ってきました」
「あぁ、廊下の適当なとこに置いといて」

シンジは先輩の住むアパートの適当なところに、
言われた通り、持って来た粗大ゴミを点々と置いて、帰路についた。


そのあと、そのゴミ達がどうなったのかはよく分かっていない。

先輩曰く
「トラックがどっからかやって来て、ゴミ乗せてどっかへ去って行ったで」
らしい。





その後、家に帰ったシンジは興奮さめやらぬ状態で、
「テレビを買おう」と思った。
今思うと、いささか謎で突飛な発想だが事実なのでしょうがない。
とにもかくにも古いテレビを捨てたら、新しいテレビを急に欲しくなった。
欲しくてたまらなくなった。


思いついたら動きの速いシンジは、
すぐに、なんとなく40インチの液晶テレビを買ってしまい、
そして更に適当なシンジは、
ついブルーレイレコーダーまで購入してしまった。

「どういたしましょう?」
「えっと、これ、あとあっちのアレ、ください」
シンジの買い物は大体そういう会話で進む。

テレビ、レコーダーに関しても漏れなくその範疇にあり、
「その、シャープの、はい、それですそれです。
あとそこのソニーの、え? あー、じゃあ500GBの、はい。そうですそうです」
という感じで購入を済ませた。

あとはブツが届くのを待つばかりである。



ここまで言っておいてアレだけれど、
買い物に後悔はつきものであり、
計画性のない買い物は特に警戒が必要である。

「下調べのない買い物の成功率は競艇3連単の確率に近い」は、
うちの6歳の娘の口癖である。
僕はギャンブルをしないので競艇のむずかしさはわからない。

翌日、筋肉隆々のマッチョマンが巨大な段ボールを抱え、
我が家の玄関をノックした際、
シンジは見事に後悔した。

マッチョマンの絶えない笑顔に胸焼けし、
段ボールの大きさに絶句し、
「こんなもの買ってない!」
「売り場ではもっと小さかったはずだ!」と言いかけたが、
「シンジ、大は小を兼ねるはずじゃよ」と守護霊が囁いた。

部屋に入れると、その物体は更に巨大さを増したように感じ、
正直開けるのが怖くなって、
小一時間ほど下鴨神社へ散歩に出かけた。

糺の森を散策し、野鳥と戯れた後、
帰ったらなくなってるかもしれない。という希望を持ちつつ、
マンションに戻り、部屋のドアを開けたら、
やはり巨大な段ボールはそこにあった。



段ボールの前に正座し、
意を決して開封すると、
大きな液晶テレビがあった。

組み立てると、巨大である。
黒い板が狭い部屋を分割しているような気さえする。
とんでもない閉塞感を感じる。

シンジはしばし黒い板の前で、
後悔の唄を即興で歌った。
「こーんにちはーこまったさん、こまったさん」って歌った気がする。
もしそうなら、キチントさんに謝罪しなくちゃいけない。

とにもかくにもシンジはテレビの前で歌った。
端から見ると、サルが黒い板の前でキャッキャ騒いでるようだったと思う。
モノリスを購入したみたいだ。



結論から言うと、テレビを買ったことは正解であったと思われる。

その日以降、シンジの現代知識の量は莫大に増えた。
新しいテレビは、パワースポットがエロ用語ではないことを教えてくれ、
女子の前で赤っ恥をかく心配がなくなった。
流行の芸人にも詳しくなったし、
ドラマ「坂の上の雲」のレンタル開始日を気にする必要がなくなった。

ただ、やはり問題はサイズである。

夜、テレビを見ながら寝ころがっていると、
なんだか日焼けサロンに来ているような気持ちになるし、
正直な話、六畳の部屋では邪魔なことこの上ない。


とりあえず少しの間、テレビを見てみようと思う。
僕に必要なものがある気がするので。

・・・では明日も元気です。
シンジでした。


at 21:39 | Category : | Comments [0] | TB [0]